
通常企業で使用する業務用の印鑑の場合には経費で支払われることはわかっていますが、業務用とはいえ個人印を経費で落とすことは可能でしょうか。特に個人事業主の場合、業務用で使用するのか、プライベートでも使用するのかによって、経費での購入が可能かどうかを判断する目安となるでしょう。
どの程度までが経費となるのか確認し、確定申告に備える必要があります。
個人向けの印鑑は経費で購入可能か
一般的に個人向けの印鑑に対しては、経費では購入できないと規定している会社が少なくありません。多くの会社では個人向けの印鑑は個人で購入することを自己負担で任せています。一部の企業では個人使用の印鑑を会社の経費で捻出している場合もありますが、この場合、業務上個人向けの印鑑を使用しなければ業務に滞りが出る可能性が高いからです。
そのため、企業側で個人使用の印鑑を用意し、費用を会社負担としているといいます。個人使用の印鑑の場合、自分で購入した自己負担のものであれば退職後も問題なく使えますが、会社側で用意した物を使うときには、退職時に返却しなければならない可能性が高いです。
理由として、会社負担で購入した個人使用の印鑑は、会社からの貸与品として位置づけられます。
そのため、退職をするときには制服や会社支給の携帯電話と同様、返却しなければなりません。ただし、会社側から退職時に貸与ではなく贈呈という形で、退職金と共に提供された場合には、話は別です。
会社によって必ずしも全てのルールが当てはまるわけではありませんので、個人使用の印鑑を貸与されている場合は、会社側に一度確認しましょう。
絶対に会社側に経費として請求してはいけないのか
全ての会社で個人向けの印鑑を経費で購入できないとは、いわれていません。会社側の規定によって多少異なり、自己負担で購入した物であっても、業務上必要な物であれば会社側にレシートや領収書を提供することで、会社側から経費として使用した費用を提供してもらえます。
「自己負担のようなものだから」と早合点してレシートを捨てたり、領収書をもらわないでいてはいけません。もらえるかどうかは会社によって異なるため、必ず経理の人に確認することです。ただし、会社側に経費として出せる印鑑としては、認印が一般的です。
銀行印や実印は個人のものであっても業務にはそれほど関係ないため、経費として請求してはいけません。認印であっても、どの程度の金額まで請求が可能なのか、前もって知っておくことが重要です。請求する金額によっては経費として認定されないこともあるため、注意してください。
あくまでも認印で、機械彫りのもののほうが経費として請求しやすいでしょう。
個人事業主が印鑑を購入した場合は経費となるのか
事業のために作った印鑑であれば、どんな種類であっても経費となります。社員をはじめとした業務用の印鑑だけではなく、社内での書類回覧用のシャチハタや、業務用の銀行印まで全て経費となるため、作ったら必ず経費として帳簿につけましょう。
経費とする場合、項目として挙げられているのは「消耗品費」です。事業用ならかなりの頻度で使うため、消耗品として正しいといえます。10万円以上もする印鑑を作ることはほとんどないといわれていますが、万が一作ることになった場合、「工具器具備品」として計上し、減価償却という経費節減方法にすることもできるでしょう。
ただし、脱税をしているのではないかと経営手腕を疑問視される可能性があるため注意してください。会社用と個人向けとは分けたほうがいいのか、と個人事業主の方は思うでしょうが、基本的には分けるべき物です。自宅に来た荷物の認印として会社のシャチハタを使うことも、厳密にはよくありません。
事業の物と個人向けの物は徹底的に分けることで、事業主として経費に計上するべきかどうかを判断しやすくなるでしょう。
社会人として必要となる印鑑とは

社会人として必要となる印鑑として、実印と銀行印があげられています。実印と銀行印は、生涯使い続ける物として、質の高い物を作っておいたほうがいいでしょう。また、認印はプライベート、ビジネス関係なく用意しておいたほうがいいといわれており、銀行印や実印以外での認印と、シャチハタを用意しておいたほうがいいです。
実印と銀行印に関しては手彫りで職人に作ってもらったほうがいいといわれていますが、認印の場合には極端な話、100円ショップで販売しているものでもかまいません。ただし、何かの契約の時に使用するような認印がほしいときには、自分以外の誰も押さないような印鑑を用意して防犯対策にしておくことも必要です。
シャチハタは消耗品として考え、定期的に買い換えることを念頭において購入してください。特に宅配が多くある場合には、インクを取り替えても経年劣化によって周囲の丸い部分が欠けてしまうことや、字の部分が欠けてしまうことも珍しくありません。
インクを取り替えても押した判の状態に違和感を感じるときには取り替え時と考えて、文具店や印鑑屋で買い換えましょう。
個人事業主が印鑑を作る場合の注意点
プライベートの実印や銀行印と、事業を行う時の事業主としての印鑑は、分けておくべきです。特に分けておくポイントとして挙げられているのが、字体です。プライベート用の印鑑の文字と、事業用の印鑑の文字を変えておくことは、ビジネスパーソンとしてのマナーといえます。
たとえば、プライベートではポップな字体であっても、ビジネスでは偽造されにくい字体で作るなどの工夫が必要です。字体だけではなく、字の入れ方を変えておくことも、プライベートと事業を分けるのに便利となります。
たとえば、プライベートの銀行印は「名前を横に彫る」形にして、ビジネス用の印鑑は「名字を縦に彫る」形にすると、管理しやすくなるでしょう。管理のしやすさを考える場合、素材を分けることも選択肢の一つです。プライベートではツゲ、ビジネスではチタンといった形で素材を丸ごと変えておくと、わかりやすくなります。
また、印鑑ケースの色や素材で分けることも可能です。印鑑ケースの素材や色を完全に分けておくと、ビジネスシーンとプライベートで印鑑を間違えることはなくなります。認印の場合、ビジネスシーンで使用する物は無機質な物、プライベートで使用する物は好きな動物が入っているポップなものと分けるのも選択肢の一つです。